□3 小泉流ショートフレーズが国民に受けたワケと
あなたも使える、その「トリック」解明
小泉元総理はショートフレーズで演説し、これが国民に受けました。
彼は、宰相としての人間性やインテリジェンスについては論外の人ですが、
反面、勝負のカン、大衆の心理を読む動物的嗅覚については、まさに天才を
身につけていたようです。
この点が、実は小泉元総理が成功した大きな秘密であり、レーガンの”大衆
取り込みテクニック成功の秘密”と表裏一対をなす面白現象なのです。
具体的に見ると、外面的にはレーガンと小泉は全く対照的です。
レーガンは常に笑顔とユーモアをわすれぬ、ソフトなお愛想の良さ。
対して、小泉は”抵抗勢力”はおろか、敢えて敵をつくり出して潰す武闘派
強行スタイルです。
しかし、大衆取り込み術という点では、二人とも同じようなテクニックを
使ったのです。
具体的に言いますと、レーガンは大統領としての人気は高く、2001年ころ
ギャラップ社が行った歴代大統領人気調査で、リンカーンやワシントン
さえ抑えて堂々1位になったということですが(※1)、政治家として必要
な政策立案力や政治認識はかなり程度の低いもので、彼のために政策を立案
するシンクタンクや官僚が、案件をレーガンに説明するためには、「分かり
やすく図にして説明する」必要があったことはよく知られています。
(※1)(財)国際貿易投資研究所 研究主幹 木内恵氏 著
「レーガノミックス再評価」
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オリジナル板はこちら⇒
http://www.iti.or.jp/kiho44/44kiuchi.pdf
(pdfファイルです)
ですから、二人に共通して言われるポピュリズムとは、本来の大衆利益迎合
主義ではありません。
むしろ、実際は平気で超・格差社会を生み、大衆を貧困化させるという事実
から、疑似・ポピュリズムというべきもので、
ポピュリズムに見せかけた「大衆取り込み術」
が彼らに共通した成功の秘密です。
(ただし、レーガンについては、彼がイギリスのサッチャーと同時期に、
先進国においては初めて新自由主義による政治・経済改革を実行した81年
時点に於いては、彼の政策の結果、超・格差社会のようなとんでもない
大問題が生じるということは、予想が難しかったとも言えるので、彼自身は
善意のポピュリストだったかもしれません)
レーガンは、たとえば就任直後の5年間で軍事大国アメリカの国防
予算を2倍にも激増させた超タカ派のコワモテ思想を、人なつっこい笑顔と
ユーモアのあるスピーチで国民に擦り込み、同意させてしまった、元俳優な
らではの超1級の大統領演技術があったのです。
これに対して、小泉純一郎の、おそらく彼も意識しなかった技術が、
あのショートフレーズです。
○ ショートフレーズが受ける秘密 解読
(1)ショートフレーズはその言葉だけしか発しないし、具体的説明を
しないので、意味が曖昧です。
たとえば、あなたが小泉元総理に、スポーツや演劇などのパフォーマンスを
やって見せたところ、
「感動した!」
と言われたとしましょう。
その言葉を聞いてあなたは、自分のパフォーマンスが小泉氏になんらかの
感動を与えたらしいということは分かるものの、彼がパフォーマンスの
どこに感動したのか分かりません。
普通に考えれば、演技の技術や表現力、要するに実力を評価されたのだろう
と思うでしょう。
ところが、全く反対の意志表示で「感動した!」と言うこともあり得るのです。
たとえば、あなたの演技自体に感動したのではなくて、演技はどうしようも
なく下手なのによくもここまで頑張ってやろうとするものだ!という別の
ところに妙な感動さえ覚えたというような場合もあるわけですよね。
勿論、ちっとも感動なんかしてないのに単に盛り上げるために、挨拶代わり
の「感動した!」も有りです。
いずれにしても、「感動した!」と言われたあなたは、何が彼を感動させた
のだろうか?と、ふと気になるでしょう。
このように、具体的な説明のないショートフレーズはそれを聞く人に、
憶測を呼ぶのです。
(2)さらに、舌っ足らずの意味曖昧発言を聞いた相手は「欲求不満」に陥る。
すると当然イライラします。
ここまで来ると、聞いた相手は、放っておいても自分で自分の気持ちに
解決をつけようとする。
それでも答えは得られません。
(もともと言った当人が、しっかりした意味なんか分かってなくて発した
フレーズなんですからね・・・)
そうなると、イライラした気持ちを納めたいばかりに、フレーズの意味に
ついて、人は自分が楽しくなるような、ハッピーエンドを想像してしまうの
です。
不況だ、お金がない、つらい、苦しいという状況にある人ほど、
潜在心理的に幸せな未来を求めています。
ですから、ショートフレーズの舌足らずにイライラすると同時に、
その意味を、つい、幸せに結びつけて解釈したくなるワケですね。
意味のはっきりしないショートフレーズを聞いた国民は、ひとりひとりが
勝手に自分に気持ちのよい意味や楽しいイメージを膨らませてしまう
のです。
フレーズの意味を、ひとりひとりが勝手にそれぞれの体験や思いこみに即し
て、自分に都合よく善意に解釈してしまいます。
結果として、フレーズを聞いた聴衆は、ほとんど全員が大満足ということに
なるわけですから、話し手にとってこんな都合のいいテクニックはありませ
んね。
という訳で、
ショートフレーズで終わりにしたから小泉レトリックは成功したのです。
もし、ショートフレーズで終わらずに詳しい説明を要求されていたならば、
彼の演説も、人気もたちどころに行き詰まったでしょう。話せば話すほど、
論理に矛盾が生じてボロが出るからです。
その上、
(3)ショートフレーズ作戦を使えば、世の中がどう動こうと、
または結果がどうなろうと、発言についてどのようにでも責任逃れが出来る
という、とんでもない”おまけ”まで付いているのです。
なんせ、自分は断片的なフレーズを発しただけで、その意味については
ほとんど何の説明もしてないのですから、聞いた相手が勝手に幸せになる
ような意味に解釈してくれたからといって、結果が相手の期待に反したよう
な場合でも、「そんな意味で言ったわけではありません」と、その場その場で
ほとんど無限の弁解が出来るのです。
▽ 安倍総理も、無意味なしゃべりをダラダラやって、答弁したことにして
しまう、という古すぎるテクニックしかやれないようでは、そのやり方だけ
で若い人に嫌われます。
今どきイメージダウンにしかならないということは、
上記の理由で、あたりまえですね。
頭を整理して、単発でしゃべればよいのです。